2020.07.16

広告市場の変容に併せた技術的変遷について

伊良子 真史
執行役員
伊良子 真史

今回は、執行役員アドプラットフォーム事業本部長である私・伊良子が執筆いたします。

今回は技術的な内容についても触れさせていただくため、事業本部長である私がなぜ技術的内容について執筆するのかという説明も兼ねて、まずは簡単な経歴からお伝えいたします。

私は2009年に現アドテクノロジー事業の前身である㈱フラクタリストに入社し、エンジニアとして各種サービスの開発に従事してまいりました。2011年にリリースしたSSP「adstir」、DSP「Bypass」ではプロジェクトマネージャ及びリードエンジニアとして開発を主導。2013年には技術開発部長、2017年には執行役員テクノロジー統括本部長に就任し、技術部門の責任者を務めてまいりました。エンジニアとしては、これまでのキャリアからプロジェクトマネジメント、サーバインフラ、多様なプログラム言語での開発に強みを持っております。

2018年からは、現任であるアドプラットフォーム事業本部長として、技術部門だけでなく事業全体を統括しております。プロダクトマネージャという事業に近い立場の経験はあるものの、エンジニアとしてキャリアを積んできた私にとって、事業責任者となることは大きなチャレンジでありました。事業においては、事業責任者としての目線だけでなく、自らもエンジニアであることを活かし、現場感のある意思決定を強みとした事業推進を心がけております。

私自身が企画・設計したアドネットワーク「HaiNa」は、現在ではアドテクノロジー事業の柱の一つと言える収益を創出するプロダクトとして成長させることが出来ました。また、既存プロダクト「adstir」「Bypass」についても、かつてそれらプロダクトのプロジェクトマネージャだった経験を活かし、事業で必要としている機能の迅速かつ効果的な開発を進めることで、各プロダクトの売上高拡大や収益性改善に寄与いたしました。

本年度も引き続き、安定した収益基盤の確立と収益拡大に努めてまいる所存です。

広告市場の変容に併せた技術的変遷について

2009年の入社以来、広告プロダクトの開発に携わり続けていますが、この10年での広告市場の変化としては、やはりGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に代表される巨大プラットフォーマーの存在が大きいです。広告予算の多くがGAFAに移っており、広告プラットフォーマー各社は苦戦を強いられる中、特色を明確にすることで生き残りと事業拡大を図っているという市場状況であると認識しております。

当社広告プロダクトも、以前のように全方位的に商材を扱うという方針から、EC、電子書籍、スマートフォンアプリ等、特定の領域に強いプロダクトへと変貌を遂げております。このような経緯から、CPMは以前と比較して大きく低下しているものの、インプレッションは増加し続けているという状況になっています。広告プロダクトは膨大なトラフィックを扱うという性質から売上に対してインフラ費用の割合が高く、技術的にどのようにインフラコストを抑えるか、言い換えると「システムを高速化し、サーバ1台当たりで捌けるトラフィック量をどう増やすか」が収益に対して直接的に貢献する要素となっています。

以下に簡単ではありますが、近年当社プロダクトで実施した技術的な改善についてその一部をご説明します。

開発言語について
以前はアドサーバの開発は主にLua言語やC言語によって書かれていましたが、少しずつGo言語にリプレースされ、2018年には全てのアドサーバがGo言語で書かれているという状況に変化しました。Go言語は2009年に作られた比較的新しいプログラミング言語です。非常に軽量かつ高速に動作する言語ですが、並列処理に強い言語でもあることから、8~32コアなどが主流となっている近年のマルチコアCPUを効率的に扱うことが出来るため、アドサーバのように高速かつ多量のリクエストを処理するのには非常に向いている言語です。こうした技術革新により、1サーバで処理できるトラフィック量が増え、インフラコストの削減につながりました。

サーバレス技術の拡大
可能な部分でサーバレス技術を利用し、処理の共通化や高速化が進みました。当社ではAWSを主に利用しておりますが、当該部分についてはEC2からSQS+Lambda化することでコストを1/10程に削減することができました。

コンテナ化・オートスケーリング化
一般的なことではありますが、コンテナ化・オートスケーリング化することで、不要になった際はリソースごと破棄出来るようになり、ストレージ費用の削減も進みました。

データ転送
トラフィック量が増えるとデータ転送にかかる費用も課題となります。データ転送や画像・動画の圧縮技術の研究や、WebPなどの軽量フォーマットへ変換する仕組みを構築することで、データ転送にかかる費用の削減も進めました。

これらは、前述したように「CPMが低下しているが、トラフィックは増えている」という状況、つまりコスト増と収益性の悪化という状況におかれ、必要に迫られたからこその技術的変化であったとも言えます。現水準の収益確保にはこれらの技術的変化が必要不可欠であり、アドテクノロジー事業における技術とその進化の重要さは自明であると考えています。

今後も引き続き、技術的挑戦と収益拡大に努めてまいる所存です。

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